教会を後にして、さらに南へ。
下校の中学生とすれ違いながら、彼の居城があった高槻城跡へ向ってみる。
野見神社 /緯度34'50'30'70 経度135'37'28'50
高槻は、城のない城下町‥‥
失われた理由は、戦乱ではなく、町の発展。
明治9年に、現在のJRが開通したのだけれど、ジュウストの城は、なんと、その鉄道の敷石を取るために壊されてしまった。
その後は、ただ放置されるばかり‥‥城跡公園が今のようにきれいに整備されたのも、ごく最近になってから。
けれど今年になってもまた、その姿の見えない城跡から、新しい歴史的発見がなされているのも事実だ。まるで遠き時代から、忘れた頃に届けられた手紙のように。
城跡公園 /緯度34'50'25'23 経度135'37'29'55
悲運のひと、ジュウスト。
いま、子供達が遊ぶこの明るい公園を眺めつつ、何を想うのだろう。
思えば、彼が願ったものは、りっぱな城を後世に残すことでもなく、権威でもなかったはず。
城は失われても、彼が本当に欲しかったものは、この公園やあの教会に象徴される、この町の穏やさや、庶民の活気ある日常だったのか。
‥‥だとしたら‥‥流され、マニラで果てた彼の願いは、少しは叶えられているのか。
秋の日射しを受けてまっすぐに立つ彼の像に、それを問ってみたくなる。
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