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LIN001

願い‥‥
春待人たちの願いをひとつひとつ読んで歩く。
人の願いは、こんなにもさまざまなものかと驚かされる。

私の願いはなんだろう。

願ってもすでに遅いことばかりが、浮かんでくる。

浮かぶに任せている他はないと諦めて、また日射しの中へと向かうことにする。

願い‥‥
梅市は盛況だ。
遠くからやってきた観光客も、自転車で駆け付けた近所の人たちも、同じように目を輝かせて出物を狙う。

「あの人」も、この梅市に来ただろうか‥‥

今、私が呼吸している春の大気を、「あの人」もまた呼吸しただろうか。

もうほとんど忘れてしまったはずの、昔の顔が浮かんだ。

LIN001
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