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[198] 秋田県 川原毛地獄 じゅんさい沼 | 2003.7.17 |
川原毛地獄から小安峡に向かう途中に「じゅんさい沼キャンプ場」がある。その名の通り、夏にはジュンサイが湖面を埋め尽くす。このジュンサイを管理しているのは「宮原民芸」の宮原泰治さんだ。彼は独学でこけし作りを習得、作品を作るだけでなく、地域の子ども達にこけしの絵付けも教えられている。ところでジュンサイを採る船はシジミ漁の箱舟に似ている。僕が「じゅんさい沼」を訪れた時、あるグループが沼でジュンサイ採りを体験していた。のどかな風景だった。ほどなく、彼等は採れたてのジュンサイでパーティーを始めた。ジュンサイをほおばる顔は皆幸せそうだ。おいしいに違いない。さすがに僕にも試食させてとは、口には出せない。そこで宮原さんに土産としてジュンサイを分けていただくことにした。旅を終え、自宅に戻るや、さっそくこのジュンサイを食べてみたところ..うううう旨い..いままで食べたジュンサイと全く味が違う。フレッシュ感があふれ、プチプチとした歯触りが格別なのだ。特にごまドレとの相性はバツグンだと思った。例えると、東京で食べるスーパーの「野沢菜漬け」と長野は野沢温泉で食べる「野沢菜漬け」の差といえば分かってもらえるだろうか 2003年7月。今年のジュンサイの状況をお聞きしようと、湯沢の「宮原民芸」に電話をかけた。電話に出られたのは奥様だった。去年もかけているので、分かっているはずなのに..訛りたっぷりの秋田弁で話す奥様の言葉を頭の中でなんとか翻訳出来始めたのは、2分ほど過ぎた頃だろうか。沖縄、鹿児島、青森、秋田のお年寄りに質問する時には覚悟がいる。最初の1分間は外国語を聞いているようで内容は殆ど分からない。心の動揺が鎮まってくるのと、彼等の言葉のリズムがすんなり入ってくるタイミングが合い始めると、なんとか会話が成り立ち始める。この日も同じだった。ご主人は出かけられていること。そして肝心なジュンサイだが、おそらく今年は不作になるだろうということだった。理由は冷夏だ。今年は6月ですらストーブを焚いていたというのだ。それゆえ、今年はお客さんに分けられるほどの収穫は期待できそうもないと、電話の向こうの奥様の声はとても残念そうだった。僕は「じゅんさい沼」のジュンサイは最高のジュンサイなので、「また食べられる機会を楽しみにしていますよ」と告げると、彼女は「どのお客さんも、皆、美味しいといってくださる。それが何よりの励みだ」と話された。あぁぁ、ここのジュンサイ、本当に旨いのだ。僕だけでなく、ガッカリする人達も多いんだろうなぁぁ [画像を表示] | |
[199] 秋田県 小安峡 真夏に新蕎麦を食べる | 2003.7.20 |
小安峡を流れる皆瀬川は温泉の川だ。この皆瀬川の下流に羽場橋があり、橋を渡った左側に皆瀬村が経営するレストラン「かえで庵」がある。この「かえで庵」から宇宙橋に向かう途中の山中にそば畑があり、7月中旬、10月中旬の2回、見事なそばの花を眺められる 皆瀬村では全国にも誇る良質なそば粉が採れる 「かえで庵」では、この良質なそば粉を使用した手打蕎麦を食べられる。しかも8月8日を過ぎるあたりからは新蕎麦が登場する。通常、新蕎麦は11月上旬を過ぎたあたりから出始めるのが一般的だから、真夏に新蕎麦を味わえる皆瀬村は、蕎麦好きにとってはたまらない場所だろう。冷奴のついた「皆瀬ざるそば800円」はお薦め。旨い蕎麦を味わえる。また皆瀬村は皆瀬牛も特産であり、石焼で食べる「みなせ牛ステーキ1500円」も見逃せない一品。観光地のレストランでありながら、味はもちろん、価格もリーズナブル、接客もきちんとしている。皆瀬村のやる気が伝わってくる店だ [画像を表示] | |
[200] 山形県 蔵王 おばちゃんの手作り餅 | 2003.7.23 |
山形蔵王山の麓は山形市だ。県庁から蔵王はすぐ手の届くところにある。市内を流れる馬見ヶ先川の水は清らかで、真夏には子ども達が岩の上から川に飛び込み、水と戯れている。東京の感覚でいえば、隅田川で水遊びをするようなものだ。なんともうらやましい。水の良い所は料理も旨いの例にもれず、山形市内では美味しいラーメン、ケーキ、パン、蕎麦を味わえる。特に山の手にある新興住宅地、東青田地区には魅力的な店が集まっている 山形市内からは1時間もかからず蔵王温泉に出られる。蔵王温泉はスキー場の町だ。夕暮れ、鳥兜山から中央高原に辿り着くと、そこにも旅宿があり、山に辿り着いたという風情は感じられず少々淋しかった。しかし鳥兜山展望台からの眺めは素晴らしい。月山から飯豊連峰まで一望でき、眼下には明りの灯り始めた蔵王温泉が見える 温泉に入り、町中を散歩する。蔵王温泉は今時のお洒落なスキー場ではない。昔ながらの町並みだが、いわゆるバーやスナックは少なく、健全な温泉町といってよいだろう 細い路地へ曲がると「つきたてのもち」という看板が目に入った。「もち食堂 六郎兵衛」が店名のようだ。店内に入ると、おばちゃんが一人カウンターの中に居た。どうやら客は僕一人だけのようだ。壁のメニューには「おろし餅500円、納豆餅500円、おしるこ500円、ずんだ餅600円」など餅のメニューがずらりと並んでいるが、1品づつ頼むよりも、好きなものを2品、3品選べるお得なセットを選択するのが主流のようだ。ちなみにどれでも2品で800円だ。僕は「納豆」と「ずんだ」を頼んだ。「ずんだ餅」は東北の名物料理で、茹でた枝豆を打ち、すりつぶし、砂糖と塩を加え、つきたての餅に練りこんだものだ。よもぎ餅の深い緑とは異なり、爽やかな緑色がなんともキレイで涼しげだ。それにしても、この店の餅は実に旨い。よくねばる餅は適度の腰もあり、またもち米が良質だ。久々に餅の旨さを体感した。手づくりの良さが生きている。客は僕一人だけだったので、おばちゃんに食べた感想を述べると、おばちゃんは、自分が餅をついていること。家族は農家で、もち米も自家栽培であること。農業だけでは、なかなか収入は上がらないこと。この店以外に冬場はペンションも経営していることなどを話してくれた。農業は主に息子さんがやっているらしい。しかし、この店の餅をつくのだけは絶対に自分がやるのだと。この餅の味は自分しか出せないというのだ。餅づくりはおばちゃんにとっての生甲斐なのだろう。「つきたてのもち」という看板に全てが言い尽くされている 農家の方達は一生懸命に野菜を作っている。しかし、野菜の価格は流通業者によって支配されている。どんなに良質な野菜を作っても、農協から流通業者に渡るときには、他の野菜とその価値は同一にされてしまっているのが現実だ。だからこのおばちゃんの家族のように、自慢の野菜を2次加工、3次加工して商品化すれば利益率はぐんと上げることが出来る。またお客からの評価も直接得られる。今後、まじめな農家が生き残るには、従来の流通に頼らず、独自の商品企画と販売網を持ったほうが良いに違いない..これからの農家にはマーケティングが必須だ。店を出て、歩きながらそう思った [画像を表示] | |
[201] 徳島県 大歩危小歩危 小歩危 曲がり戸の瀬 | 2003.7.26 |
瀬戸大橋を渡り香川県に入る。既に日もとっぷりと暮れ、宿泊場所を確保しなくてはいけない。とりあえず宇多津の町に入ってみた。結局、ファミレスやファストフード、大手スーパーが立ち並ぶ海沿いの健康ランド「瀬戸大橋四国健康村」で休憩することにした。風呂を浴び、食事の出来る大広間に入ると、お客はカラオケで盛り上がっている。ラストオーダーの時間ということで、生ビールとツマミに鶏のから揚げなど幾つかの肴と讃岐うどんを注文した。さすがに香川、うどんは旨かった。ところで四国といえば讃岐うどんの味が標準だと思うかもしれないが、実は各県でつゆの味やうどんそのものもかなり違う。過去の経験でいうと、徳島や愛媛のうどんは、讃岐うどんとは全く別物だった。むしろ福岡のうどんのほうが讃岐うどんに近いと感じた 今回の旅の目的は高知は四万十川を源流から河口まで旅することだが、高知に向かう道すがらには魅力的な川、吉野川がある。早朝の健康ランドを後にして、一路大歩危小歩危に向かう。順調に小歩危に辿り着いたのはよいが、小歩危の景色を落ち着いて眺められる場所が見つからない。川は道路に沿っていてガードレール越しにしか眺められないのだ。阿波川口駅から小歩危駅まで走ってみたが、川を間近にじっくりと眺められるポイントは一ヶ所だけだった。その場所は「国政吊り橋」。この吊橋は格子状の足場で、隙間からは眼下に吉野川の急流が迫ってくる。写真は「国政吊り橋」から上流を撮影したものだが、この個所は「曲がり戸の瀬」と呼ばれ、小歩危におけるカヌーやラフティングの最大の難所だ。プロのガイドの人達ですら「ここは怖い」と言わせしむる程の激流セクションなのだ。つまり小歩危をじっくりと見るには「国政吊り橋」あるいは「小歩危峡展望台」から眺める、またはカヌーやゴムボートで川を下りながら実体験するか、選択肢は殆どないということだ [画像を表示] | |
[202] 徳島県 大歩危小歩危 大歩危 舟下り | 2003.7.29 |
大歩危(おおぼけ)は埼玉は秩父長瀞と同じく、結晶片岩が露出した、切り立った崖が約8Km程続く吉野川の渓谷だ。おだやかな瀞の間に時折急流の瀬が現れる 僕の場合、撮影ポイントを最初から決めて旅に出るということは殆どしない。行きあたりばったりというか、出会った風景をメモ撮影するというのが流儀。天候も気にしない。撮影はあくまで旅先で、僕が現地を見て感じた、その時空間のメモであれば良いと思っている。その場所に居合わせた自分の気持ちが、どこにあるのかを確認することを一番大切にしている。だから絶景を撮ることを目的にはしていない しかしプロカメラマンは勿論、アマチュアカメラマンでもテーマを持ち、それを追いかけていると、僕の場合とは逆に、撮影ポイントや天候、風景の色彩は重要な要素となってくるケースは確かにある。例えば鉄っちゃんが大歩危小歩危を撮影する場合は、土讃線が吉野川鉄橋を渡るカットは欠かせない。あるいは吉野川と鉄道が並行に走る風景を俯瞰するために山の上のポイントを探す。多くの場合、ベストポイントは一ヶ所、あるいは数ヶ所ほどと少なく、それゆえにカメラマンが集まり、場所取り合戦が繰り返される。う〜ん..大変やなぁぁ 昨今は風景写真でも同様に場所取り合戦が頻繁に起こっている。このようなポイントは大概マスコミで発表されたプロカメラマンによる作品の場所だったりする。そしてこの種の風景写真愛好家達は、プロカメラマンが撮影した風景を単にコピーするためにだけ、その土地に来ているケースが多いように感じる。彼等を観察していると、周りの様子を興味深く観察しようとは思っていないらしいことが伝わってくるからだ。ポパイやホットドッグプレスなど、情報誌が発信する作られた流行を疑いもなくなぞっていた、当時の若者達の姿とオーバーラップしてしまう。そろそろ自立するということを本気で考えてみようよ プロカメラマンは、自身の決めたテーマを展開するために、その土地の周辺をつぶさに観察する。そしてその土地の持つ魅力を最大限引き出せるポイントと季節、天候、時間を決定して撮影している。しかし、それは、あくまで彼の解釈であり、他の人はまた違った視点で全く違う風景をベストだと思うかもしれない。むしろそのほうが自然ではないだろうか。川が好きならば、今回僕が撮影したカットのようなポイントを探すだろうし、鉄道ファンならば大歩危小歩危を走る車両の美しさを、一番うまく表現できるような場所を探すだろう。どちらもそこには明確な意思がある。決して誰かの作り出した風景のコピーを目指しているわけではない。自分で見つけた、とっておきの風景。それは一期一会かもしれない。しかし、この出会いをきちっと記録することこそが、写真の醍醐味ではないだろうか [画像を表示] | |
[203] 徳島県 西祖谷 かずら橋 | 2003.8.1 |
祖谷渓(いやけい)の上流にあたる西祖谷山村善徳と東祖谷山村は奥祖谷の祖谷川に「かずら橋」がある。奥祖谷の「かずら橋」は剣山を西祖谷に向かって下る途中にあり、こちらは観光客も少なくひっそりとしているが、西祖谷の「かずら橋」は多くの人出で賑わっている ところで「かずら橋」の名の由来は、「葛」を使って出来た橋、つまり植物のつるで出来た橋ということからきている。地元でシロクチカズラと呼ばれているものだ。しかしカズラというとカエンカズラではないが、南方系の植物が多く、とうてい橋の材料となるとは思えない。実際シロクチカズラという名称の樹木や野草は存在しない。このシロクチカズラと呼ばれる植物の正体だが実はサルナシでマタタビの仲間である。サルナシの別名はシラクチヅルだ。シラクチヅルで作る葛からシロクチカズラとなったのだろうが、少なくとも「カズラ」という表記はいただけない。せめて「かずら」と平仮名にしてもらいたいものだ。西祖谷の「かずら橋」は3年に1回架け替えられる。材料となるサルナシは東祖谷の国有林のサルナシを冬場に採取して加工するのだが、この予算は西祖谷山村が負担していて、現在は入札により「かずら」の製作を依頼しているようだ。その中には個人の方も含まれている しかし、通行料500円を払って「かずら橋」を渡る人々を眺めていていると、日本人にとって「橋」に対する想いとはなんなのだろうか..という疑問が湧き上がる。川に架かる単なる通路に過ぎないのに、錦帯橋、明石大橋はもとより、橋は観光名所になるほどに人々を惹きつける。橋の上から眺める川や海の風景が魅力的なのか、それとも空中に浮く、浮遊感に惹かれるのか..なんとも不思議な存在だ [画像を表示] | |
[204] 徳島県 西祖谷 天から垂れる 琵琶の滝 | 2003.8.4 |
かずら橋の少し上流に滝美食堂がある。朝早くから店は開き、祖谷そばやアマゴ(四国ではアメゴと呼ぶほうが多い)の塩焼きが旨い。この食堂のすぐ隣に琵琶の滝がある。滝は小ぶりだが、なぜか切なさを誘う。この滝を見上げると、木々の葉が空を覆い、天への入り口のように見えた。まるで天空から垂れるヒモのように水が落ちてくる。このヒモをたどれば別天地に辿り着けるのではないか。そんな願いをこめ、平家の落ち武者達は、琵琶の滝と名づけたのではないだろうか [画像を表示] | |
[205] 高知県 四万十川 中村 四万十川の終着点 | 2003.8.21 |
初崎の丘の上から四万十川の終着点である河口を眺める。青砂島、平野の浜に打ち寄せる太平洋の力強い波にも負けず、四万十のたおやかな流れは海に注がれていく 源流からこの河口まで眺め、どこが一番四万十川らしいのか... 僕はこの初崎から眺める四万十川の風景を挙げたい。河口のはるか先に連なる峰の後方には、天狗高原のある四国カルストや四万十川の源流地点である不入山があり、まさに四万十川の誕生から終わりまでを俯瞰して感じ取れるからである 四万十川が最後の清流と呼ばれるほどに日本の河川は国の愚策により破壊されつくしてきた。その四万十川ですら、この河口で行われている河川整備事業のために本来の生態系は破壊されつつある。青砂島と呼ばれるように、この河口域は日本一青ノリが採れる場所であるのだが近年不漁が続いている。同様に四万十川河口域を象徴する魚でもあるアカメも激減している。確かに中村市内のサイクリングロードは観光目的には良いかもしれないが、そもそも四万十川の魅力である自然の豊かさが破壊されてしまうのは本末転倒である。このままでは気がついた時には川も汚れ、魅力的な生き物もいなくなり、そして観光客の姿も見えなくなるパターンはほぼ確実に訪れそうだ。今年は日本全国冷夏とはいえ、四万十の夏を代表する鮎の姿を7月下旬まで見ることはできなかった。生物たちはレッドシグナルを我々に送り続けている [画像を表示] | |
[206] 高知県 四万十川 中村 夕暮れの四万十川 | 2003.8.24 |
夕暮れの四万十川の風情は格別なものがある。船着場で休む船のシルエット。また漁を終え、戻る途中の小舟の航跡が、夕日の作り出す川面のグラデーションに美しく浮かび上がる この風景を橋の上から眺めがら中村駅に向かう。駅前の食堂で夕食をいただき、とんぼ公園の駐車場でモバキャンする。充実感溢れる1日だ [画像を表示] | |
[207] 高知県 四万十川 中村 とんぼ公園 ギンヤンマ | 2003.8.27 |
高知を訪れたのは四万十川を見たかったからなのだが、実はそれ以上に訪れてみたい場所があった。その場所がとんぼ自然公園だ..通称とんぼ公園..休耕田をそのまま活かした公園は里山そのものが維持されている。新興都市にありがちな親水公園の不自然さなど微塵もない昔懐かしい田園風景が広がり、そしてそこには多くの生物たちが暮らしている。とんぼ公園と名乗るだけのことはあり、日本で見られるトンボ約200種のうち、70種を越えるトンボが、こことんぼ公園に生息している 写真はオスのギンヤンマだ 真夏の強烈な日差しを浴びながら気持ちよく空を飛ぶ姿が美しい [画像を表示] | |
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