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[228] 和歌山県 本宮 湯の峰温泉 温泉たまご 2003.11.3
湯の峰温泉は熊野本宮詣での人達の湯垢離場(ゆごりば)として愛されてきた素朴な温泉町だ。テレビの旅番組でも必ず取り上げられる場所なのに、観光ずれしていないところが心地よかった。湯の峰の町を流れる小さな川に温泉が湧き、大人が数名入れるか、どうかほどの小さな共同浴場「つぼ湯」はつとに有名だ。「つぼ湯」は一日の内、7回も色が変化すると云われている。この「つぼ湯」のすぐ下流の川原に湯筒があり、ここで温泉たまごを作ることが出来る。川原を上がると、公衆浴場と土産屋があり、この土産屋で温泉たまご用のたまごとサツマイモが販売されているので利用するとよいだろう。15分ほどで完成する。湯の峰温泉にはウラジロシダに似た天然記念物のユノミネシダの群生地があるのでシダ好きの方は見逃さないように
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[229] 和歌山県 本宮 熊野本宮大社 2003.11.6
熊野神社の総本宮でもある熊野本宮大社を訪れた。正直なところ、今まで僕は神社や仏閣には、さほど興味はなかった。しかし山梨県身延山久遠寺を訪れたときに、その境内に張り詰めた気の強さに圧倒された。これは今まで体験したことのない体験だった。何故にこのような波動を感じるのだろうか。熊野本宮大社を訪れたのも、神社でも果たして気は存在するものなのかを確かめたかったからだ。熊野本宮大社では本社殿での写真の撮影は禁止されている。神門をくぐり、檜皮葺きのモノトーンに包まれた本社殿に入ると予想した通り、ものすごい強さの気に包まれた。胸が苦しくなるくらいの強さだ。熊野本宮は三本足の八咫烏に守られている。元々熊野信仰は自然崇拝から生まれたと云われている。八咫烏は自然物を神として崇める日本人の心情を象徴しているのかもしれない

写真は熊野本宮大社への石段だ

神社、仏閣の本殿に辿り着くには、大概、急傾斜な長い石段を上り詰めねばならない。そして石段の途中から眺める風景もまた深く心にしみてくる。なんとも心憎い空間デザインだ
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[230] 和歌山県 本宮 皆地 いきものふれあいの里 2003.11.9
四村川沿いに皆地(みなじ)に向かう。皆地の四村川には落ち鮎を狙う梁があるのだ。落ち鮎漁は既に終了はしているが、簗はそのまま残っているはず。現地に着くと予想は的中していた。この皆地の簗は地元の方が1週間ほどかけて作り、規模も大きい。つぶさに観察すると、アユを誘導する木のやぐらの配置が見事だ。栃木県那珂川や群馬県水上の簗とも違い、簗だけを見ても、その美しさに惚々してしまう

ところで皆地とは、水無地から転じた、谷川が地下を潜って流れている土地の意味と言われ、シイタケや薪、炭の生産や皆地傘で知られている。ふけ田を利用した「皆地いきものふれあいの里」は、この地域の谷戸を歩く散策路であり、あぜ道、木道、草の道など、ごく普通の谷戸の風景を楽しむ事ができ、山にはヤマネも棲むという

実は高知中村のとんぼ公園のような里山の自然を期待したのだが、実際のところ、公園の作りはとんぼ公園とはまるで違っていた。水路に対してあまりにも人工的すぎる個所があるのだ。親水公園によくありがちな業者による「作りましたよ」というスタイルであり、これでは本来の生態系は逆にダメージを受けてしまうのではないかと感じられた。事実、アメリカザリガニが繁殖しすぎて、和歌山県では唯一の生息地であった水中昆虫であるオオコオイムシなど、従来いた生物が減少してしまったようだ。残念である。今後の復活に期待したい
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[231] 和歌山県 本宮 めはり寿司 2003.11.12
熊野本宮大社の石段を降りると「茶房珍重庵」という茶屋がある。ここの名物は「熊野もうで餅」。品のあるこし餡を使った柔らかな餅は土産としてもお薦め。またキャンプでの買出しや特産品が目当てならば、大社の近くに「樹の里」というスーパー兼土産物店がある。本宮だけでなく和歌山の特産品はだいたい揃っている

さて和歌山というと寿司が有名だ

寿司といっても江戸前のような寿司ではなく、サバやサンマのなれ寿司、サンマの姿寿司、そしてめはり寿司だ。和歌山はサバやサンマが昔から多く捕れ、その保存食としてなれ寿司や姿寿司、棒寿司が生まれた。なれ寿司は琵琶湖の鮒寿司のサバ版だと思えばよいだろう。酢を使わずに魚を塩漬けして自然発酵させたものだ。新宮には30年モノのなれ寿司を食べさせるところもある。もうチーズの世界だ。ところで姿寿司や棒寿司は魚に塩をふり、ダイダイなどの酢でしめた、さわやかな味の寿司で価格も安く旨い。奈良県吉野の鮎寿司や柿の葉寿司も、これら和歌山の寿司の影響を深く受けていると思われる。ところで、めはり寿司は和歌山は熊野を中心とした地域でしか見かけない、熊野の郷土料理だ。僕がめはり寿司と最初に出会ったのは高校2年生の時だった。修学旅行で昼食の弁当として食べたのが最初。寿司だと喜んだのだが、出てきたものはでっかい「おにぎり」。そのおにぎりは塩漬けした高菜でぎっちりと巻かれていた。拍子抜けしたが、高菜の旨さにまたまたビックリ。すっかりめはり寿司ファンになってしまった

せっかく本宮に来たのだからと、十津川に向かう途中、国道168号線沿いにある「めはり本舗 三軒茶屋」でめはり寿司を食べた。う〜ん旨い。高菜というと九州が名産地でトンコツラーメンの具としても愛用されている。しかしめはり寿司に使える大き目の高菜の葉は九州産の場合少なすぎて不経済。比較して熊野産の高菜は、めはり寿司用の大きさに育つと、1枚1枚刈り取って出荷しているので合理的というわけだ。この葉を3日間ほど塩漬けしたのち、タレに漬け込み、酢の入っていない普通の白ご飯に巻いて、めはり寿司は完成する。とてもシンプルな「おにぎり」だが、高菜の味付の仕方で各店の特長が生まれる。食べ比べてみるのもよいだろう
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[232] 奈良県 十津川 谷瀬の吊橋 2003.11.16
めはり寿司を食べ終え、本宮から一路十津川を目指す

はるか昔、母方の親戚が十津川の村長をしていた関係で、村長さんから「十津川は秘境だ」と毎回会うたびに聞かされていた。十津川沿いに走り、ニ津野ダムに出るとおだやかな水の風景が広がっていた。ニ津野ダムにある十津川温泉の手前を西川沿いに入ると、まもなくキャンプ場が見えてくるが、このキャンプ場と隣接して「野猿」という珍しい乗り物がある。「野猿」は人力ロープウェイで、川の両岸に張ったワイヤーに“やかた”を吊り下げ、自分で引き綱を手繰り寄せながら渡るもの。猿がつるを伝って渡っていく様に似ていることから、「野猿」と呼ばれている

それにしても十津川の道は舗装されているとはいえ、カーブは多く、時間がかかる割には距離は稼げない。東京オリンピックや大阪万博あたりは確かに秘境であったろう

風屋貯水池を通過すると、水量の少ない十津川がまた始まる。道沿いに走ると沢山の車が集まっているのに気付いた。上野地に着いたのだ。ここには谷瀬の吊橋という、長さ297メートル、高さ54メートルに及ぶ大きな吊り橋がある。ゆらゆらゆれる吊り橋は、他の人が渡ると下を眺める余裕もない程に大きく揺れる。渡りきるまでおよそ5分かかる。こればかりは渡った人にしかわからない、スリルを超えた感覚である。写真でもその揺れは、被写体ブレとして写っている。少しは実感していただけるだろうか
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[233] 奈良県 天川 陀羅尼助 2003.11.19
大峰山々の麓、天川村を訪れた。吉野郡は柿の里だ。下市から柿畑の峠を越え洞川に出た。洞川周辺は名水百選にも選ばれた「ごろごろ水」が湧き出るほどの良質の水と温泉があり、行楽客で賑わう。商店の連なる町並みを散歩していると「陀羅尼助」(だらにすけ)を扱う店によく出会う。陀羅尼助は胃腸薬で、大峰で修行する役行者がキハダの木の皮を煎じたり、あるいは乾燥させて作ったもので、1300年の歴史を持つ漢方薬だ。ここ天川村や吉野山では陀羅尼助を扱う漢方薬店は多い。天川を歩いて感じる空気は明らかに宗教の気配だ。洞川は山岳信仰と密教が結びついた修験道の拠点でもある大峰山々への入り口であり、現世と神の地との境界。そして山の神から村人達に与えられた恵み、それが陀羅尼助なのかもしれない。僕も土産として購入、帰宅後に使用してみたが、確かに効能はあった。それにもまして僕が購入した店の方の接客対応は感動すら覚えるほどに丁寧であり、また歴史の重みを担っていた。この体験をいただけただけでも、十分な土産だった
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[234] 奈良県 天川 大峰の名水豆腐 2003.11.23
大峰の麓、洞川は名水百選「ごろごろ水」で知られる湧水の宝庫、その旨い水を使って豆腐を作る店が3軒あった。2軒は普通の豆腐、もう1軒はごま豆腐が名物の店だ。写真の山口屋は「ごろごろ水」に向かう途中にある豆腐店だが、店先では豆腐を求める客が列をなし、豆腐を手にした人々は喜々としてほおばっている。不思議なものだ。近所のスーパーで豆腐を目指して人々が殺到する姿などは見たことはないし、またデパ地下の一丁1000円の豆腐を買っていく客を見ても、喜々とした顔は浮かべていない。日本人にとって豆腐の存在は不可欠なのだろうか。台湾や中国にも豆腐はあるが、彼らも喜々として豆腐に列をなすものだろうか。そんな不思議な感覚にとらわれながらシャッターを押した

僕も列の仲間に加わり、そして魅惑的な豆腐をほおばってみた。絹ごしでもなく木綿でもない、ふんわりとした甘くジューシーな味だった。大豆を食べているぞ..という幸福感が体を包みこんだ。なんなんだろう..確かに作り手の気持ちが伝わってくるのだ。たかが大豆されど大豆。大豆と名水の織り成すファンタジーは確かに存在した
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[235] 奈良県 天川 大橋茶屋 2003.11.26
今回の旅も天川村を最後に戻らなくてはならない。山上ヶ岳への登山も時間がなく諦めたが、せめて登山口だけでも確認しておこうと向かった。途中、昭和40年代まで女人禁制の結界線のあった母公堂に立ち寄る。母公堂は行者の母が息子と出会う場所だった。ここから先に入ることは許されていなかったからだ。現在は安産祈願として知られる母公堂だが、漂って来る気配は神秘性に満ちている。いままで見てきた神社仏閣とは何かが違う。この何かが違う空気感が大峰の持つ霊力なのだろう

山上ヶ岳の登山口である大橋茶屋に到着した。この大橋登山口には、この先女人禁制となる結界が設けられている。帰路を目指す下山客の姿もなくなり、ひっそりとした茶屋を囲むように紅葉の山々が輝いていた
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[236] 栃木県 日光 小田代原 小田代原 夕暮れのカラマツ 2003.12.2
雪のちらつく戦場ヶ原をぬけ小田代原に出かけた。晴れてくれればよいのだが、と、空を見上げながら歩いていると、ほどなく日が差し込んできた。小田代原に到着すると貴婦人が出迎えてくれた。人の気配は全くない。一瞬、雲間から傾きかけている陽の光がカラマツ林を照らし始めた。見事なグラーデション。ほんの僅かなショータイムだったが至福の時間を味わえた
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[237] 栃木県 日光 小田代原 小田代原 静かな木々 2003.12.5
日も傾き、雪もちらつきはじめたので森の中を赤沼茶屋に向かう。小田代原や戦場ヶ原の森林で多く見かける樹木はミズナラ、僕はこの森が大好きだ。何故ならば車の音が殆ど聞こえないからだ。だから野鳥の鳴き声の録音にはもっていこいの場所。バードウォッチングであれば戸隠高原の方が良いと思うかもしれないが、あそこは米軍や自衛隊の飛行コースとなっていて録音には適さない。また人も多く沢の音も入りやすい。その点、ここ小田代原から赤沼茶屋の間の森は適度な起伏もあり、そのお陰で遠方からの音を遮断してくれる。まして雪が降り始めると、その静寂さはより際立ってくる。望遠レンズで樹木を見ていると耳の感度も増幅され、空気の音まで聞こえてくるような気持ちになる
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