武奈ヶ岳を周遊するひとつめの分岐点であるイブルキのコバを過ぎ、幾度も幾度も沢を渡って行く。
水辺でひと休みしてしばらく‥‥ふと小鳥のさえずりに気付く。
歩くことに懸命で、本当はずっと聴こえていたはずのさえずりが心にまで届いていなかったようで、少し自分を恥じてしまう。
‥‥生き方だってそうだろうか‥‥なんて、ちょっと人生を振り返りながら。
さてひと休みを終えて、いよいよ武奈ヶ岳山頂への最後の苦行。
湿った鞍部を抜け、クマ笹の中を進み、深くV字状になった道を登り詰める。
ここを過ぎれば、もうすぐ標高1214mの山頂だ。
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