武家屋敷街を西へ歩いていくと、大野庄用水に突き当たる。
金沢に盛んに用水が築かれた時代の空気を、もっとも濃く今に伝える水路だ。
殿様の荷物や武家屋敷建築のための木材などが運ばれた格式の高い用水で、さすがにあたりの家々も立派だ。金沢の町人文化にふれられる金沢市老舗記念館も、この近くにある。
また、用水のほとりや近くの家々には、桜や梅、紅葉などの古木が静かに立っていて、四季折々に散策を楽しめそうだ。
大野庄用水の名残り
用水にかかる幾つもの小橋。水面に映る幾つもの空。
そして、角を曲がるたびに発見のある幾つもの角。
───藩政の時代から今日まで、頑固なまでに守られてきた「金沢らしさ」は、こんなささやかな散策でも味わうことができると、金沢の歴史を映してきた細い流れに教えられた旅だった。
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