街道を逸れると、鉄砲鍛冶職人や、その元締めらの屋敷があった界隈。
その辻々で出会う、懐かしい風景。
交通事故の心配もない細い路地で遊ぶ子供たち。
彼等の父はさすがに鉄砲鍛冶ではないだろうけれど、それでも職人だったら嬉しいなと思えて仕方がなかった。
この界隈には、あちこちに往時の建物のまま今日も商売を営む店も多い。
薫主堂も、幕末から続く香の店。
店構えはほとんど当時のままらしく、店そのものが“香”のような香しさを持っている。
香・薫主堂
また、昔からの商売だけでなく、床屋などもこの通り。
店内は思いのほか賑わっていて、数人のお客が順番を待っていた。
旧堺の街は、古いだけが取り柄の寂れている街ではなく、古い時代の良さをそのままに、今を着実に生きている街だ。
堺の人々がここで暮らしている限り、決して飾り物や遺跡としてではない“生きた歴史”が、刻まれ続けていくだろう。
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