旧堺港から流れてくる潮の香りを頬に感じながら、海の水を引き込んでいた中世のリオ(運河)の名残りを探した。
名残りのひとつ、南蛮橋にたたずむ異国の紳士と眺めるリオの水面は、積み重ねてきた歴史のように深く濁る。
大阪には多数の運河があったことはよく知られているけれど、この堺の旧市街地は、屈指のリオの街だ。
南蛮橋
異国との交流の中で財をなした人々自らが、海の水を陸地に引き込んで巨大な環壕を築き上げ、自由や繁栄を奪おうとする国内の圧力から身を遠ざけ、それと同時に港は異国へと開かれた。
堺が見ていたものは、制度や旧来の権力にはがい締めにされた日本ではなく、常に夢と可能性に溢れた海の向うの世界だった。
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