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干支の山―竜ヶ岳

 ここでいう竜ヶ岳は毛無山、雨ケ岳とつづ く天子山塊の北端の山、5千円札の裏側に富士山とともにその姿が描かれていながら 、これまで登山ガイドにも一般の登山地図にもあまり紹介されなかった1485mの不遇 の山のことである。
 しかし2000年、この記念すべき竜の年を前に、本栖湖畔から の登山道が整備された。今回はこの山を紹介してみようと思う。

端足峠へ

 本栖湖畔からのルートが整備される前 の一般的ルートは、朝霧高原から端足峠へと登り稜線通しで山頂へと向かうルートで ある。まずは、このルートを登ることにした。端足峠までの登山道は雨ケ岳への登山 道として紹介もされ、もちろん登山地図にもルートが掲載されている。

 朝霧高原、本栖ハイランドの南側に東海自然歩道の根原入口があ る。根原の集落からも登山道に入れるのだが、今回の入山はここから。大きな標識が 立っていてわかりやすい入り口である。少し歩くと広場があって、そこからわずかな 傾斜な登り道で山懐に入っていく。

 この道は東海自然歩道で、毛無山の山麓を抜けて猪の頭、田貫湖 へと続いている。整備状況はまずまずだが、少し気になったことがある。所々に「山 火事注意」の看板と一緒に「たばこは喫煙所で」という立て看板があり、何ヶ所かコ ンクリートの吸い殻入れのある喫煙所があるのだ。ごみ箱の置いてあるところもある。
東海自然歩道が整備された頃には、このような自然歩道にゴミ箱を 置くのが一般的だったのかもしれないが、今ではなんとなく違和感がある。吸い殻入 れもそうだ。
 「たばこは喫煙所で」の看板は比較的新しく、ゴミ箱の周りには ゴミは散乱しているものの回収されてる形跡はあるので、管理はされているのであろ う。車道から1kmは奥に入っているというのにご苦労なことではある。
「歩行中禁煙」「携帯灰皿持参せぬものはたばこ吸うべからず」「 火の始末は確実に」「ゴミは持ち帰れ」の看板でよろしい・・と僕は思うのだけれど。
 まあ、それはそれとして、心構えとしてはごみ箱はあっても、こう いう場所ではゴミは捨てずに持ち帰るいうことを基本にしたい。

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頭を雲の上に出し
相対する山から眺める富士山は
裾野から眺めるよりも高く見える。
1999.12.19 竜ヶ岳稜線上より LML



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東海自然歩道端足峠分岐
1999.12.19 LML
 途中に標識のない分岐がある。これを直進しても稜線に出られるが 、今回はもうすこし東海自然歩道を行くことにして左に曲がる。しばらくいくと小さ な杭の標識があって、端足峠、雨ヶ岳の表示がされている。ここで東海自然歩道と別 れていよいよ本格的な登りに入る。ところがこれが凄い急登、これまでとうってかわ って手強い道になるので体がびっくりしてしまった。
「急なほど距離は短いのだ」
と自らに言い聞かせて脇目もふらずに登り切ると峠に出る。健脚な ら自然歩道の入り口から1時間くらいだろう。

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頂上へ
笹の中を平泳ぎにて進む。
1999.12.19 LML



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雲垂れこめる雨ヶ岳
下山時はなおのこと登山道がわかりにくい。
1999.12.19 LML

山頂へ


 目の前には笹原の斜面、その真ん中に登山ルートが見える。それが 竜ヶ岳の南面だ。右をみると霧氷のついた雨ヶ岳が大きい。少し腹ごしらえをして笹 原の登りに挑む。遠目にはルートがはっきりしているのだけれど、実際その中に入っ てみると笹の高さは背丈ほどもあり登山道に覆いかぶさっている。薮こぎとまではい かないものの、平泳ぎ状態だ。

 ようやく傾斜が緩くなり潅木がチラホラあるところまで登りついた が、山頂はまだまだ先のようだ。竜ヶ岳を竜に喩えるならようやく鼻の先端にたどり 着いたところか。 ここからはさらに足元は怪しくなり歩きづらい。しかし足元の様 子はなんとか確認可能で、前方の視界も良好なので迷う心配はほとんどない。右手に は富士山が見え隠れする。八ヶ岳と茅ヶ岳の姿が目の前に飛び込んできたところで山 頂到着。

 だだっぴろい山頂は奇麗に刈り払いされサッカーでもできそうな広 さだ。北側にはハイウェーのような登山道が作られている。団体客がアセビの木の下 で記念撮影中。

 整備された北側の本栖湖からの登山道を少し下りてみた。笹原の 斜面をつづら折りに刈り払いして作られた広い道。尾根の途中に新しい展望台が見え る。どこからも富士の眺めが良い。御坂山地も目の前、足和田山の裾野に西湖がよく 見える。真下は本栖ハイランドのオフロードコースだ。



 さて新しい道を下りてはみたいが、本栖湖から車を置いてあるとこ ろまで戻るのが面倒なので、結局来た道を戻ることにした。下りは登りよりもルート ファインディングに手間取ってしまう。しかしここでGPSが心強い見方となってく れた。往路で記録させたルートを大きく外さずに行けばよいのだ。笹地獄を脱出すれ ばあとは普通の登山道である。


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富士山頂からの日の出 竜ヶ岳展望台よ り 1999.12.25 LML


本栖湖畔ルートを行く

 さて、先週端足峠からの 登山道を辿って登った竜ケ岳。しかしこれからのメインルートは本栖湖畔から登るル ートである。
「これを紹介しないのは片手落ちだ。」
ということで、クリスマスの朝、真新しい登山道を登ってみること にした。

 6時半に本栖湖畔の竜ケ岳登山道の入口に到着し、林道のゲート の前の僅かなスペースに車を入れた。ゲートの向こうに竜ケ岳登山道の標識が見える 。これは先週にはなかったものだ。

 ゲートを抜けて少しいくと右手に登山道が分かれる。流石に出来 たばかりの登山道、完璧な道だ(あたりまえだが)、樹林帯をつづら折りに登ってい く。尾根にたどり着けば左手には富士の展望がお友達。ただし木の葉っぱが茂る時期 にはこの展望はないだろう。右手には本栖湖が見える。日があたっていない湖面はま だ深く沈んだ色だ。

ダイヤモンド

 小一時間で真新しい(まだ出来上 がってなかった)展望台に着いた。ここで樹林帯は途切れ、一気に展望が拡がる。展 望台の後ろには石仏を覆う真新しい祠も作られていた。三脚を据えて日の出を待つ。

 御坂山地が既に赤い。稜線にときどき雲が湧く、朝日が透過しそ れが紅く染まる。大室山の山頂には雲がかかっている。今朝の富士山は精進湖からが よさそうだなあ・・・などといつもの撮影地の状況を予想したりしてしまうのは富士 山病かもしれない。
 雨ヶ岳に日が射した。青木ケ原樹海の上に広く拡がっている富士 山の影が徐々に狭くなる。ようやく竜ケ岳山頂付近に朝日が到達。富士山の陰がどん どんこちらに迫ってくる。

7時50分頃、山頂ほぼ中央から日の出・・・光芒が拡がる。

 竜ケ岳からはちょうど今の時期、富士山頂から登る朝日を見るこ とができる。この時期(冬至付近)は太陽の昇る位置の変化が少ないため、12月始め から1月中旬まで、このスペシャルな日の出が楽しめるのだ。山梨県と上九一色村で も現在宣伝中のようである。

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竜ヶ岳新登山道(遠方の山は御坂山地)
1999.12.25 LML


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竜ヶ岳山頂付近より富士山を望む
1999.12.25 LML


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竜ヶ岳山頂 1999.12.25 LML

山頂へ

 撮影を終え再び登山開始。竜の背中にジグザグをきっ て登山道は続いている。斜度はきつくなく楽な道だ。だれもいない山頂到着は8時3 5分。展望台からは約40分だった。

 下山時には展望台では工事の方が作業中。今日で完成なのかもし れない。林道まで降りて来たところで、「登山者記録表」なるものを発見。雨に濡れ ないような工夫がされて木にくくりつけてある。ノートは2冊あってどちらもまだま っさらだ。
「登山開始する前に記入して下さい」
と書いてあるが、登りのときには全く気がつかなかった。ひょっと すると展望台で作業していた工事のおじさんが今朝取付けたものかもしれない。
 それにしても「まっさらなノート」というもはかなりそそるもの がある。書きたい欲求を我慢することが出来ず事後申告ということにして記帳(^^;
   やったね!一番乗り(^^)


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富嶽仙人
 昭和38年生まれ
 富士宮市在住
 信州大学在学中に山と自然と写真に目覚める。
 富士宮市に移住後も富士山を主たる対象として写真活動を継続中。


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