撮影ツアー それに加えて近ごろ目立つのが、大型バスを仕立てての撮影ツアーだ。東京からはもちろん、もっと遠方からの場合も多いようだ。バスが止まると機材の入ったリュックを背負い、大きな三脚を担いだアマチュアカメラマンがぞろぞろ降りてくる。女性も数多い。
これらのツアーにはプロか、あるいはセミプロ級の指導員(添乗員というのか?)が同行していることが多いようだ。この案内役は、いわゆる現地添乗員のようなカタチで雇うケースもあるようで、小耳にはさんだ話では地元アマチュアカメラマンの定年退職後の格好のアルバイトになっているようだ。僕も月に一度くらいならやってもいいかなあなどと思ったりもする。お客さんの年齢層が高そうというのが難点(なんでだよ)だけど。
夜明け カメラマンの集うピークの時間帯が夜明けだ。日の出の一時間以上前からカメラマンは撮影地点に三脚を立て待機する。厳冬期のこの時間、富士五湖周辺では氷点下15°以下になることもある。まだ暗いうちからあちこちでシャッターの音が聞こえる。ドラマチックな夜明けの始まりだ。
富士山を見たことがある人は多いだろうが、この夜明けの時間帯の色彩の変化の様子をご存知だろうか。刻一刻と変化するそれはまあナカナカに美しいものなのである。雲が出て、それが染まれば、これはもう最高である。カメラマンは皆そのチャンスを追い求めているのだ。
カメラをお持ちでなくても、もし機会があったら少し早起きをして夜明けの富士山を眺めて欲しい。いや富士山でなくてもよいのかもしれない。普段の生活の中でほんの少し早起きして街や空を眺めてみると、思いがけない素敵な風景に巡り合えるかもしれない。
慌ただしい朝 夜明けの撮影が一段落するとカメラマン達はすばやく機材を撤収し次の場所へと移動する。ある者は別の湖へ、ある者は別の峠へ。なかには二回目の日の出を撮ろうと移動する者もいる。日の出が何回も楽しめる、これもまた富士山の写真の面白さの一つといえる。
要するに、太陽が富士の裾から上がる時間と太陽が富士山の山頂から上がる時間には一時間以上の差があるので、その時間内に上手く移動することによって何度も日の出を楽しめるのだ。富士山の北側の精進湖で7時に日の出を見たあと、西側の上九一色村で8時過ぎに山頂から昇る朝日が見られるわけだ。 日の出に限らず、この時間帯は刻々と風景の表情が変化するのでカメラマンはとても忙しい。雲が虹色に輝く「彩雲」という現象が現れるのもこの時間帯だ。
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朝霧高原 朝焼け
太陽は富士山の後ろにある。
雲が紅く染まる
朝霧高原 日の出
朝焼けがすっかり終わって、
もう20分以上は経っただろうか。
ようやく太陽が山頂から昇った。
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