スッポンタケ

スッポンタケ科/スッポンタケ属


スッポンタケ
悪臭を放ち、蠅などに胞子を運んでもらう。
撮影横山元 11月4日 埼玉県浦和市

和名 スッポンタケ:
鼈茸
発生時期 梅雨時〜秋
発生場所 竹林、雑木林のアズマネザサのある場所など
発生の様子 散生〜群生。


スッポンタケ
卵から出る前は、悪臭はしない。
撮影蜂須賀公之

大きさ
形状
形状:
幼菌時は径3〜6cmほどの卵形で白色。土中に半分〜ほとんど埋もれる。やがて頂部が裂開し、高さ9〜15cmのスポンジ状の柄が伸出する。柄の先端は粘質、暗色のグレバ(胞子のできる部分)がついた傘がついており、柄の先端にかぶさるようについている。グレバはオリーブ黒色で、未熟な状態では堅いゲル状だが、成熟して柄が伸び、空気に触れれば液化し、悪臭を放ち、昆虫などを呼び寄せ、胞子を拡散させる。幼菌時、卵形の時には近縁の腹菌類と見分けがつきにくい。成長し柄と傘を伸ばせば、それぞれの個性あふれる姿形で見間違えることはない。柄が白色、傘の下にスカート様の白い網がないことが本種の特徴。

香り 成熟し、卵状の袋から伸び上がったものは、傘表面にある暗色の液体から強い匂いを放つ。この匂いは卵が破れる以前にはしない。臭いとしては生の落花生を茹でた青臭さを1万倍に濃縮したエキスといったかんじ。
特徴 幼菌時、卵形の時には近縁の腹菌類と見分けがつきにくい。成長し柄と傘を伸ばせば、それぞれの個性あふれる姿形で見間違えることはない。柄が白色、傘の下にスカート様の白い網がないことが本種の特徴。
似た種類 キヌガサタケは傘の下に、スカート状の網を持つ。キイロスッポンタケは柄が黄色で、主にブナ帯に発生する。
食・毒
中華の最高級素材として珍重されるキヌガサタケとは近縁。キヌガサタケは成長したもののグレバ(傘表面にある悪臭を放つ液体)を除き、スープなどに用いるが、本種はキヌガサタケよりもボイルしたときの縮み方が著しいようで、よりコリコリした仕上がりになる。グレバは卵が破れる以前には匂いを放たないため、卵のうちにボイルしてしまえば表皮下のゼラチン質を除くだけで食用になる。むしろ茹でたてのグリーンピースのような香りがあって非常にうまい。歯触りも独特で楽しめ、オイスターソースで味付けた中華炒めに非常に合う。著者は卵の状態でこのように食用となることが分かってから、伸長したスッポンタケの匂いも悪臭とは思わなくなった。人間の感性とは現金なものである。外国書ではスッポンタケの匂いを「死臭」とまで表現しているものがあるが、一度そういう概念を持ってしまうとなかなかそれを破れない。とりあえず自然が作ったものに悪意は持たない方がよさそうである。

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