コウタケ

イボタケ科/コウタケ属


コウタケ
マツを交えた広葉樹林内に発生する。
撮影上原貞美 10月10日 東京都奥多摩町

和名 コウタケ:
皮茸(傘裏面にある多数の針が動物の毛皮のようであることから)
発生時期
発生場所 広葉樹林中地上に発生する。
発生の様子 列をなし多数群生する。


コウタケ
醤油のような香りを持つ。ただし生食は中毒するので注意
撮影蜂須賀公之

大きさ
形状
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径10〜20cm、太く短いラッパ型〜生育するとしだいに傘が波打ち、不定形となる。幼菌時はほぼ球型、表面には粗大で強く反り返った角状の鱗片が密生する。色は表面が若いとき淡褐色〜しだいに黒褐色。裏面はやや淡色。裏面には柄の下部まで、長さ1cmほどの針が密生している。

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傘と柄の境界は不明瞭。傘の中心の窪みは柄の根本近くにまで達する。

香り 醤油そっくりの素晴らしい香りがあり、これは乾燥すれば強まる。きのこの香りは新鮮な時に強く出るタイプと、乾燥して強く出てくるものがある。前者の代表はヒラタケやマツタケであり、後者の代表はこのコウタケやアンズタケである。ただしコウタケもアンズタケも加熱調理すれば独特な香りは別のものに変わる。もちろんコウタケを焼いても醤油が焦げた香りにはならない。
特徴 若いうちはハリネズミの赤ちゃんのようで可愛らしく、全体はじょうご型をしている。香りは弱いかほとんどしない。老成すれば傘は反り返りほとんど不定形のようになる。成菌は特に乾燥したときに素晴らしい醤油に似た芳香を放つようになる。傘表面のささくれ、裏面の針も特徴的。
似た種類 大型のもの、小型のもの、香りが強いもの、あまりしないもの、中央の窪みが深いもの、浅いものなど、近縁には未知の種が多数あると考えられる。小型で肉に苦みがあるケロウジと間違えないように。
食・毒
条件により毒
コウタケと言えば醤油の香りのきのこということになるが、実はこの香りは加熱調理すると別のものに変化する。生食では中毒するため、コウタケを醤油の香りのまま食することはできない。しかしそのlことに対する苦情を聞いたことがない。加熱調理すれば、独特な柔らかく、かつ厚みのある風味、苦みを伴った旨味が発揮されるようになり、たとえば炊き込みご飯では、電気釜で炊いても炭火で釜で炊いたような旨味が加わることになる。さっと炭火であぶれば、その苦みが日本酒にとてもよく合う。少し酔いが回れば、あぶったものを日本酒の入った器に入れ、そのまま燗をつける。 そしてその香りと味の、深く、繊細で、野趣のあふれる世界へ浸りこんでゆけばよい。その時、消えたはずの爽やかな醤油の香りが、イメージとして生き、明確なアクセントをつけているから不思議である。黒という色彩もまた心理的な影響を増幅させているかもしれない。

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