チチタケ

ベニタケ科/チチタケ属


チチタケ
傷つけると、やや渋みのある乳液を多量に分泌する。
撮影蜂須賀公之 8月17日 東京都府中市

和名 チチタケ:
乳茸
発生時期 夏〜秋、特に夏
発生場所 広葉樹林、雑木林、特にクヌギ、コナラ林の地上。
発生の様子 散生〜群生。

大きさ
形状
:
径5〜12cm。中央の窪んだまんじゅう形から平らに開き、さらに反り返りじょうご形となる。表面は粘性を持たず、わずかにしわ状。色はオレンジ褐色〜暗赤褐色。

ひだ:
直生〜垂生、密、白色〜クリーム色。しばしば褐色のしみが出る。

:
長さ6〜10cm、径1.5〜3cmで太く短い。肉は緻密。色は傘と同じ。

香り やや古くなったものには魚の干物のような匂いがある。若い新鮮なものはほとんど無臭。
特徴 傷つけば多量の乳液を分泌する。乳液は白色で、分泌後乾燥すれば茶褐色となり、微妙な甘さと渋味を持つ。肉は緻密だがぼそぼそしたかんじ。
似た種類 ヒロハチチタケは全体にやや淡色で、ひだが疎。
食・毒
時間をかけてよく火を通せば濃厚で、かつすっきりとした独特の素晴らしいうま味が出る。マツタケが松の木の香りを宿しているのだとすれば、チチタケのそれは甘酸っぱいクヌギ、コナラの樹液の香りと言っていいだろう。チチタケを味わうことは、夏の雑木林を体で感じ取ること、風景と肉体関係を持つこと、そんな幸福な充実感をもたらしてくれる隠れた名菌である。栃木県ではマツタケ並の異常な人気があり、手でつぶすようにして細かく砕き、ごま油でたっぷり時間をかけてよく炒め、うどんのだしにする。「味よし、歯切れ悪し」の典型的なきのこで、あっさりした料理には向かない。

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