コウタケ蜜のヨモギ団子

コウタケは食材として実におもしろいきのこで、様々な可能性を秘めている。特徴としてはまず生のきのこを乾燥させると、強い醤油の香りを放つということ。この香りは加熱調理すればまったく別の、きのこらしい濃厚な風味に変わるということ。ここではその2つの特徴を両方生かし、かつ黒い色彩を生かせる料理を考えた。ここで選んだのはデザート、すなわち甘いものである。きのこでデザートというとやや妙な感じがするが、砂糖で煮付けたコウタケはたいへんおいしく、その時に出る黒い蜜もまた懐かしいような、非常にいい風味を持つ。コウタケが甘さと合う理由としては、味、風味だけでなく、肉質がボソボソしていることと、黒という色彩のイメージも大きい。写真に見えるココア色のパウダーは乾燥コウタケを和砂糖と合わせてミキサーで粉末にしたもので、これには醤油の香りが生きている。醤油と砂糖は日本人が大好きな組み合わせの一つであり、このデザートはかなりエキセントリックでありながら懐かしく、誰にでも受け入れられる仕上がりになっていると思う。コウタケの味そのものも、炊き込みご飯のような料理よりも強く前に主張している一品だ。


材料 (10人分)

コウタケ・・・・・大きなもの1つ
ヨモギの葉・・・・・一束
うるち米の粉・・・・・20g
砂糖(あれば和三盆)・・・・・大さじ4
あんこ・・・・・200g

作り方
  1. 乾燥コウタケはクズの部分をミキサーにかけ、パウダーにする。これに半分の量の砂糖を加え、もう一度ミキサーにかける。形のいい部分は適当に切って残りの砂糖と水で煮る。黒い煮汁が飴状になる手前で、よく煮汁を押し出してきのこを取り出す。

  2. 1.で煮たコウタケの一部を小さく刻み、あんこに混ぜ込む。

  3. ヨモギは枝を除き、重曹を小さじ一杯を入れた鍋でゆであげる。

  4. やけどしないように注意しながら、米の粉に熱湯を加えながらこね上げてゆく。こね上がったら2.のヨモギを混ぜ込み、蒸し器で20分蒸す。

  5. 4.をすり鉢に取り、すりこぎで突きながら葉を餅に練り込んでゆく。

  6. 手に熱いお湯をつけながら餅に2.のあんこを詰め、形を整える。

  7. 1.の黒い蜜が固くなっていれば、少し水を足して煮溶かし、飴状の手前で皿に垂らす。この上にヨモギ餅を並べ、1.のコウタケパウダーを振り、ヨモギの葉を飾ってできあがり。

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