ホタテ貝とトキイロヒラタケと小さなタネツケバナのカルパッチョ

日本人はきのこをあまり生で食べないが、もともとサラダを食べなかったのに、これだけ食べるようになったのだから、きのこも生で食べてもいい。ただし生のきのこというのは野菜のようにモリモリ食べるものではない。感覚的に、繊細に、ちょっとだけ食べて、それで充分に感じ取れるものである。トキイロヒラタケは、まずその色が美しいきのこであり、これを生かさねばならない。加熱すれば色はややあせるが(その後冷水でしめればやや戻る)、生のままオイルをかければむしろ色が濃くなり、風味も増す。まさに生食のためにあるようなきのこなのだ。ただし老成したものは繊維が強くなり、加熱しても食べにくいくらいであるから、消化が悪い生食にはもとよりむかない。今回は白いホタテ貝でピンクのきのことの対比をねらったが、これが白いウスヒラタケならサーモンでやればいいだろう。タネツケバナはどこにでもある野草だが、ピリットした辛みが秀逸であり、僕が好んで使うものだ。ロゼットの美しさもまた素晴らしい。自然の中の、このあまりにも感覚的なものたちを口にする時、舌と唇に弱い電気が流れるような、それだけにかけた一皿。


材料 (3人分)

トキイロヒラタケ・・・・・小さなものコップ1杯くらい
刺身用ホタテ貝柱・・・・・3つ
レモン・・・・・大さじ1
オリーブオイル・・・・・大さじ1
シエリー酒(ドライ)・・・・・大さじ1
つぶこしょう(赤、緑)・・・・・適宜
タネツケバナ・・・・・適宜

作り方
  1. シェリー酒、レモン汁、オイルを足して塩こしょう、砂糖を少々加えソースを作る。塩こしょうはきのこと貝と野草全体への適度な味付け分量として考える。砂糖はソースの材料をまろやかにつなげる目的なのでほんの少しでよい。

  2. トキイロヒラタケは形のいい小さなものを6枚残し、それ以外をみじん切りにし、1.のソースを少しづつ加えて粗いペースト状にする。

  3. ホタテ貝は横半分に薄切りにし、2.で残ったソースをかけ、かるく5分ほど冷蔵庫でマリネする。これを皿に盛りつけ、2.のきのこペーストを盛り、その上に2.で残したトキイロヒラタケを乗せる。タネツケバナを添えて、こしょうと、貝をマリネしていたソースを回す。タネツケバナはなければタンポポ、クレソン、セリなどでもいいが、大ぶりなものでなく小さな葉がよい。

HOME