ベニテングタケの雑煮

ベニテングタケは世界的に有名な毒キノコであり、誤食すれば嘔吐や下痢、幻覚などを伴うとされるが、毒性はそれほど強いものではない。長野県の一部の地域では3ヶ月ほど塩蔵することで毒性を弱め、正月の雑煮の材料としてきた。毒は完全に抜けてはいないとも言われ、体質や体調によっては注意が必要であり、一度に食べる量は一人一本を限度とすべきだが、それだけでもベニテングタケの存在感を十分に堪能することができるだろう。最近は幻覚体験を求め、産地で採り立てのベニテングタケをやみくもに試食し、現地の人に大きな迷惑をかける者もいるらしいがとんでもない話である。この図鑑の利用者には、自然の中にこそ、幻覚よりも美しく、想像を超えたファンタスティックな世界が広がっていることを知っていただきたい。そしてその世界を覗く者は、自然のシステムと、人間社会のルール、マナーを理解し、守らなければならない。なぜならそれは幻覚ではない、私たちが存在する現実世界なのだから。


材料 (4人分)

ベニテングタケ・・・・・塩蔵品を4本分
にんじん、ごぼう、さといもなど・・・・・適宜
田舎味噌・・・・・大さじ適宜(みそ汁を作る分量で)
酒粕・・・・・味噌と同量大型
煮干し・・・・・8〜10尾(出し汁用)

作り方
  1. ベニテングタケは9月後半に採集される。これをゆがき、ゆで汁は捨て、たっぷりの塩に漬け込んでおく。正月に半日かけて流水にさらし塩抜きをする。これだけの処置をしても圧倒的な旨味が残っているのがベニテングタケの凄いところである。

  2. 沸騰した湯に煮干しを入れて出し汁を取り、取り上げ、野菜ときのこを入れる。

  3. 具が煮えたら火をいったん止め、味噌を溶き入れて、味噌汁の要領で味を付ける。

  4. 味噌と同量の酒粕を溶き入れてできあがり。濃厚で、体の芯から暖まる雪国の雑煮である。

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