アラゲキクラゲと豚バラ肉のふっくら煮、アカジコウのソース

ヨーロッパの名菌セップと言えば、味、香り、歯切れ、姿形と何拍子もそろった素晴らしいきのこだが、日本にもこれによく似たきのこが数種類ある。すなわちヤマドリタケモドキ、ムラサキヤマドリタケ、アカジコウなどであり、それぞれにセップに劣らぬ素晴らしい魅力を持っている。ただし生の状態の、特に香りということになるとセップの濃厚さには数段劣る。しかしきのこを薄切りにして乾燥させてやると、香りはぐっと高まり、ほとんどセップと変わらなくなる。かなり濃厚な醤油に似た香りだ。それはやはり醤油の香りのきのことして有名なコウタケよりも上品で香ばしく、洗練された感じのするものである。今回の料理では乾燥のアカジコウと塩だけで肉を味付けし、旨味、香りをたっぷりアラゲキクラゲに含ませた。よく煮込まれたアラゲキクラゲは食感も腰のある昆布のようになり、たいへんに美味い。調理途中に味見をすると、まずアカジコウから味があふれ出し、化学調味料を入れすぎたような風味になる。次に肉から旨味が少しづつ溶けだし、やがて両者がほどよくなじみ、素晴らしいまろやかな調和をなす。その時に肉がふっくらと、アラゲキクラゲがプリプリシコシコに煮上がっていれば料理は成功である。食感は素晴らしいが味も香りもないアラゲキクラゲと、味と香りは素晴らしいが乾燥すると食感はなくなってしまうアカジコウをカップリングさせ補い合うのも、この料理のねらいの一つである。


材料 (4人分)

豚バラ肉のブロック・・・・・200gくらいを4ブロック
乾燥させたアラゲキクラゲ・・・・・茶碗一杯くらい
乾燥させたアカジコウ・・・・・茶碗半分くらい
日本酒・・・・・500ml

作り方
  1. 肉に塩を振りしばらく置く。この塩で仕上がりの味を決めるので、出来上がりの分量を考えてやや多目に振る。

  2. 全部の材料をなべに入れ火をつける。沸騰したら弱火にし、2〜3時間煮込む。焦がさないように、また肉の形を崩さないように注意する。

  3. 肉が箸で崩れるくらいになったらできあがり。ボイルしたチンゲン菜、ター菜などを添えて供する。(分量外)

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