徳島・鷲敷ライン　渓流沿い　白い野菊の花咲く遊歩道　2003.11.14

徳島県鷲敷町は、那賀川の中流域に位置する町。北部には標高618mの太竜寺山がそびえ、四国霊場札所の太龍寺へ、川を越えて向かう太龍寺ロープウェイが印象的だ。眼下には那賀川、高度が上がるにつれ剣山山系や、紀伊水道なども展望できる。山麓駅から上流にあたる細渕橋への一帯は、鷲敷ラインと呼ばれる景勝地。浅瀬や急流、深淵、岩場など変化に富む川は、夏にはカヌーを楽しむ人たちで賑わう。晩秋になると、鷲敷ライン周辺では、ナカガワノギクが白い清楚な花を咲かせる。花が多く見られるのは、細渕橋近くの遊歩道、両岸に自生する。川岸のやや乾いた崖や岩の上に生える、徳島県固有のキクだ。川が増水すれば、たちまち水の中に沈むような場所にありながら、けなげに命をつなぐ花たち。環境に適応しながら生き続ける、野菊ならではの強さも秘めている。花はちょうど見頃を迎えたところだ。なお、鷲敷町には、ナカガワノギクとシマカンギクとの雑種と言われるワジキギクもあり、こちらは町の花に指定されている。

徳島県那賀郡鷲敷町