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栂池という地名を知ったのは、僕が高校生の時だ。旺文社の大学受験ラジオ講座というラジオ番組があり、毎年夏休み前には必ず「栂池サマースクール」という合宿の募集をおこなっていた。その番組は、いかに栂池が涼しく、勉強に最適で、かつ美しい場所であるかをくり返し告げていたので、これは一度は訪れてみなきゃいかんなぁぁと思ったものだ
その後、白馬には何度も足を運んだのだが、何故か栂池だけは行かずじまい。気がつくと40歳をとっくに過ぎ、これではあかんと思い、出かけてみたものの、スキー場だらけで、なんとなく初恋の人に振られたような気分になってしまった
夏なのに雪原で新緑と花見を楽しめる
しかし栂池は白馬登山の出発点でもあるし、6月中旬〜7月上旬まで、ミズバショウの群落を見られる貴重な場所でもある。やはりもう一度行かねば、ということで、ゴンドラとロープウェイを乗り継ぎ、栂池ビジターセンターを目指した
ロープウェイを降りると、なんと春の花であるショウジョウバカマやフキノトウが咲いているではないか。うっうそだろう..と..つい口に出てしまうほどに、信じられない光景がそこにあった。雪の壁をぬけながら栂池ビジターセンターに辿り着くと、7月だというのに、そこは360度、雪、雪、雪なのだ。隣の八方で、真夏の雪は体験していたが、ここの積雪量は4月に訪れた姫川源流の雪よりもずっと多い。木々は、まさに新緑真っ盛り。そしてミズバショウがあるあるある..すっげぇぇ..と..感動したその直後、あれっ、な〜んか、このミズバショウ変。そうなのだ。ミズバショウの色は、白でなくて、薄茶色というか、まるでモヤシのように、黄色がかっているのである。そういえばフキノトウも黄色かった。日光の当らない、雪の中で長い時間暮らしているせいか、栂池のミズバショウは黄色っぽいのであった
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