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渓流釣りの楽しさは、もちろん釣ることなのだが、釣果を自宅に持ち帰るまでの間、料理メニューに思いをはせるのがよい。現実は戻ると、疲れも出て、大概ムニエルやソテーになってしまうのだが、毎度これじゃ飽きてしまう
そこで保存もきく燻製にチャレンジしようと、まずテストに鶏肉をスーパーで購入、寸胴鍋を用いて作ってみた。チップは近くのアウトドアショップでミックスタイプを購入した。鍋の底にアルミホイルの小さな箱を作り、その中にチップを入れた。鶏肉は塩コショウしたものや、醤油タレに浸したものを中板に置いてみた。これをガスコンロに乗せ約1時間弱火で焼いた
結果は、まぁぁそこそこのものが出来上がった。初回にしては上出来だった。ただし反省点もあった。脂が大量に垂れるので、スモークに脂がかかると、煙が出ない。あるいは温度が高い場合には燃え過ぎてしまう。それと使用した寸胴鍋は、さほど大きくはなく、熱が高くなりすぎ、スモークよりはローストに近いものなってしまうことと、寸胴鍋の洗浄が面倒なことだった
そこで菓子の入っていた一斗缶を知人から分けてもらい、上部の両脇をドリルで穴を開けて、そこに針金を通して吊るせるようにしてみた
この一斗缶燻製システムのおかげで、ニジマスもヤマメもイワナも燻製にして美味しく食べることができるようになった。しかしですね。ガスコンロと一斗缶の燻製は燻製といっても所詮温燻しかできないのです。市販されているスモークサーモンのような冷燻作りはマンション住まいの身としては無理でした
黒姫には信濃ブルワリーという、地ビールがある
地ビールがブームとなった頃、いろいろと飲み比べてみたが、どこも大手ビールメーカーの地ビールシステムを採用しているのか、ビールの種類も、味も、皆そっくりでがっかりした
ところが信濃ブルワリーにある、チェスナッツパブで飲んだ「黒姫スタウト」や「ドラゴンエール」はとても旨かった。オリジナリティーのある味なのだ。こくと香りが豊かで、飲んだ余韻に奥行が広がる。ビールの肴にニジマスの燻製を頼んでみたのだが、運ばれてきたものは、飴色の見事な燻製だった。箸で身をほぐすと、スモークの気持ちよい香りが漂ってきた。これは本物だぁぁ。口にほうばると、これこそ僕の作りたかったニジマスの燻製だぞっ、と、自分の技術力は横に置き、ビールを飲むことも忘れて、その燻製をばくばくと食べた。
あまりに美味しかったので、店の方に分けてもらえないか、聞いてみた
本当はダメですけど、と、いわれたのだが、今回だけは、と、3匹分けていただいた
これを土産に持ち帰ったのだが、食味したスタッフ達の評判もすこぶるよかった
この燻製を作っている方が「黒姫ガーデン」の竹村さんだ
「黒姫ガーデン」は黒姫高原のおいしい水で育てたニジマスやイワナの養殖場だが、釣った魚を自分で調理して食べることができる。メニューはいたってシンプルで炭火で魚を焼いて食べるか刺身を味わう。ここでは業務用としてニジマスの燻製と焼き枯らしという調理方法のイワナを作っている。イワナの焼き枯らしは燻製ではない。一晩自家製のタレにつけ、遠火で焼き、干物にしたものだ。食べてみて、そうだ、これは奈良は十津川で購入した鮎干しのイワナ版だと気づいた。ニジマスの燻製もイワナの焼き枯らしも店のメニューには出ていないが、分けてくださいと相談すると、冷凍庫から出してきてくれる。価格もリーズナブル(時価ですが)で土産として沢山持ち帰った
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