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森林植物園のミズバショウを見ながらさらに進むと、矢と弓を携えた神代の武士が「やっと来たか」と手招きするように出迎え、その先の鳥居をくぐり、小さな太鼓橋を渡れと言う。神社に着くと稲荷が鋭い目付きで僕を値踏みする
戸隠の中でも、天命稲荷の異様さは群を抜いているように思うのは、僕だけだろうか。この稲荷の顔つきを見て欲しい。豊川稲荷や伏見稲荷のキツネとは違った険しさを持っている。まるで物の怪の森の番人といった風情だ
そもそも戸隠神社ができたのは平安時代だ
天照大神を祭る戸隠神社だが、実は江戸時代までは仏閣もたくさんあった。そしてこの稲荷である。天照大神と稲荷が同居し、かつ、戸隠連峰を修行の場所とする僧侶達も元気だった。平安時代といえば最澄や空海が天台宗や真言宗を立ち上げたときでもあり、また稲荷信仰が始まった時ともされている
つまり戸隠という「気」に満ちた土地に、様々な宗教家達が大挙して押し寄せたということだろう。そして遂に忍者が登場するわけだ。トガクシショウマも実は忍者が化身したものなのかもしれない
戸隠は野鳥の宝庫、というわけで、鳥の声の録音には最適の地ではないかと、DATデンスケを抱えてチャレンジにしたのが、そもそも僕が戸隠と付き合うきっかけだったのだが、結果は見事にペケ。それは車の音がうるさいとか、人声がするとか、沢の音が邪魔といったことではない。なんと昼夜を問わず、軍用機が頻繁に上空を通過するのだ。それもジェット戦闘機が多い。これは誤算だった。まさか戸隠が軍用機の飛行コースだとは。米軍だとすると、横田か厚木から飛来するのだろうか。日本海を警戒しているのだろう
というわけで、どうも戸隠という土地は未知なるものを惹きつける何かがあるのかもしれない。そのうちUFOと遭遇するのではないだろうか。是非とも出会ってみたいものだ
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