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下栗の里からしらびそ峠までは、一気に900mも駆けあがる
途中、進行左手に中央アルプス、右手に南アルプスが交互に現れる。炭焼山の手前、尾根の頂上に出た所に天国の場所を見つけてしまった。電力会社の施設を管理するためか、その空間だけぽっかりと広場になっている。南西は池口岳から、北東は赤石岳まで、遮るものは何もない大パノラマがそこにはある。まさに天空の楽園だ。いままで訪れた、どの場所と比較しても、この広場が与えてくれる至福の空間に勝るところに出会ってはいない。水もトイレも何もない空間だけど、この場所にいるだけで幸福感がこみ上げてくる。同じ気持ちの人はいるもので、ゆったりとしたディレクタチェアに身を任せ、本を読んでいる人がいた。毎年ゴールデンウィークは、この楽園で人生のクリーニングをするのだそうだ。そして夜になると、鹿たちがたくさん訪れる。
下栗からしらびそ峠までを「南アルプスエコーライン」というらしい
観光客の多くは、駒ヶ根からしらびそ峠を経て、「南アルプス展望風呂」のある「ハイランドしらびそ」を訪れる。確かにそれだけでも十分に満たされるだけの風景は味わえるのだが、しかしこの楽園と比較すると、向こうは都会の雑踏の様。ましてあの人に溢れたキャンプ場で過ごすなど考えられない。(それでも他の観光地と比較すると相当にマシなのだが)ゴールデンウィークの同じ日だというのに、この楽園にいる人は、自分を入れてわずか数人だけ。静かな時が過ぎていく。
写真は「南アルプスエコーライン」からの「ハイランドしらびそ」である
この地をしらびそ高原と呼ぶ意味がわかると思う
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