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初崎の丘の上から四万十川の終着点である河口を眺める。青砂島、平野の浜に打ち寄せる太平洋の力強い波にも負けず、四万十のたおやかな流れは海に注がれていく
源流からこの河口まで眺め、どこが一番四万十川らしいのか...
僕はこの初崎から眺める四万十川の風景を挙げたい。河口のはるか先に連なる峰の後方には、天狗高原のある四国カルストや四万十川の源流地点である不入山があり、まさに四万十川の誕生から終わりまでを俯瞰して感じ取れるからである
四万十川が最後の清流と呼ばれるほどに日本の河川は国の愚策により破壊されつくしてきた。その四万十川ですら、この河口で行われている河川整備事業のために本来の生態系は破壊されつつある。青砂島と呼ばれるように、この河口域は日本一青ノリが採れる場所であるのだが近年不漁が続いている。同様に四万十川河口域を象徴する魚でもあるアカメも激減している。確かに中村市内のサイクリングロードは観光目的には良いかもしれないが、そもそも四万十川の魅力である自然の豊かさが破壊されてしまうのは本末転倒である。このままでは気がついた時には川も汚れ、魅力的な生き物もいなくなり、そして観光客の姿も見えなくなるパターンはほぼ確実に訪れそうだ。今年は日本全国冷夏とはいえ、四万十の夏を代表する鮎の姿を7月下旬まで見ることはできなかった。生物たちはレッドシグナルを我々に送り続けている
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