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沼田は木工の町だ。学生時代の友人が沼田出身ということもあり、彼の実家には何度もお邪魔した。親父さんの仕事は木材加工だったが、友人は家業を引き継ぎ、デザイン家具も手がけるようになった。木工所に入ると、鋸で切った木屑の香りが漂い、その香りがとても気持ち良い。親父さんには木の性質や加工のノウハウをいろいろと教えていただき感謝している
沼田の友人宅を訪れると、彼が毎度連れて行ってくれた所が、沼田の駅前にある小さな蕎麦屋だ。外観は超レトロで、店内も蕎麦屋というよりは立ち食い蕎麦のような雰囲気だ。お世辞にもきれいとは言いがたいし、メニューを見ても立ち食い蕎麦なみの安さ。お客さんも棚にある、いなり寿司を勝手に取りだして食べている。地元の人たちの休憩所のようだ。駅前であるから、この蕎麦屋以外は土産店が立ち並び、観光客も多い。その中でこの店だけは時間を超越して存在している。もちろん観光客は一人もいない。見渡すと、かけ蕎麦を注文している人も多く、僕等もかけ蕎麦を頼んだ。調理しているのは、かなりご高齢のお婆ちゃん。所詮立ち食い蕎麦レベルだろうと、たかをくくって、出てきた蕎麦をほおばったら..目が点..こりゃほんまものの手打蕎麦だ。ニ八かな。お婆ちゃんに「おいしいですねぇぇ」と挨拶すると、「創業100年近いからねぇぇ、代々受け継いできた味を落とすことはできないよ」とサラリと返事がかえってきた。今まで食べたかけ蕎麦の中で、この店を越えるものにはいまだ出会っていない
写真は関越道沼田インターから日光に抜ける道沿い近くのりんご畑だ。川場方面に抜ける道と金精峠に向かう道の間はりんご畑が多い。ゴールデンウィークあたりが花の見頃だ。ピンクの花が愛らしい
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