|
那智勝浦から新宮に入る。新宮には国の天然記念物に指定されている、新宮藺沢浮島植物群落こと「浮島の森」がある。はるか昔海であった場所に、植物の死骸が堆積し、泥炭の池の上に浮き島が出来たものだ。ここに繁殖する植物達は熱帯系、亜寒帯系、寒暖両地域に分布する植物約125種が混生する珍しい植生が特長でもある。浮島を見学した後、昼食を食べに散策に出る。すぐ近くに小さなおでん屋を見つけ入ってみた。カウンター席と小さなテーブル、東京の下町にある子どもを相手にしたもんじゃ焼きの店のような、庶民的な雰囲気の店をイメージしてほしい。価格も安い。おでんとラーメンを頼んだのだが、どちらも予想以上に旨い。特にさっぱりとした醤油ラーメンの味は、旅の思い出に残るものだった。ところでおでんとラーメンの組み合わせは奇抜なように思うかもしれないが、甲府で出会った店もおでん屋だったが、そこの名物は、なんとラーメン。今まで食べた甲府のラーメンの中でも、かなり旨かったのも事実だ
熊野川を渡ると、いよいよ三重県だ。鵜殿の海岸から熊野市までを七里御浜(しちりみはま)と呼び、碁石のように丸い小石の砂利の浜が延々と帯状に続く。七里御浜の海は黒潮のうねりも強く、遊泳は禁止だが、この海岸にアカウミガメが毎年5月から7月にかけて産卵のため訪れる。はっきり黒潮と分かる2色の海の帯、爽やかな海岸の白い砂利、そして春のおだやかな空のコントラストが美しかった
|