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出雲の観光コースとしての日御碕(ひのみさき)のゴールは日御碕灯台と日御碕神社だ。僕も灯台の入り口までは辿り着いたものの、観光地そのものの雰囲気に嫌気がさしてウミネコの繁殖地として有名な経島(ふみしま)も見ずに、出雲大社と日御碕灯台を繋ぐ街道、日御碕街道の海岸線沿いの磯辺を目指し戻ることにした
僕は小川や田んぼが大好きだ。幼少の頃は山口県は下関に住んでいて、小魚やカエル、蝶などの生き物を手掴みすることが楽しく、毎日小川や田んぼで遊んでた。しかし小学生になる少し前に東京は三鷹市に引っ越したため、いままで毎日の日課であった小魚の手掴み採りはできなくなってしまう。それは辛い現実だったのだが、その替りとして巡り会ったのが磯遊びだ。潮溜まりを覗くと、そこには小魚やカニ、エビなど沢山の生物で溢れ、彼等を追いかけたり、眺めては興奮していた。特に三浦半島の剱崎での磯遊びは楽しかった。磯場だけでなく、すぐ隣、江奈湾の干潟では、シオマネキやコメツキガニ、チゴガニたちと戯れた。伊豆の付け根にあたる真鶴半島の琴ヶ浜も僕のお気に入りのフィールドだ。ここの潮溜まりは泳ぐこともできるほど、子どもにとってはまさに天然のプールだった。父親に毎週末、三浦半島や湘南に連れて行ってもらった。大人になり、自分にも子どもが出来た時、真っ先に彼等を連れて行ったのは、もちろん剱崎や江奈湾の干潟、そして真鶴琴ヶ浜だった。琴ヶ浜といえば、水中写真家の中村征夫さんが20歳の時、ここの磯場で休憩していたら、海中から突然ダイバーが現れ、海坊主が出たと仰天したそうだ。その事件をきっかけに海中の生物を撮影してみたいと思い立ち、現在に至っているのだそうだ
写真は日御碕街道、追石鼻(おいせはな)近くの磯場であり、楕円のカットは、そこで見かけたクロヘリアメフラシの仲間だ。出雲大社から海岸沿いに追石鼻まで日御碕街道を走る途中左手、日本海の先に三瓶山を望むことができる。通常3月の磯場は海水の透明度はあるのだが、生物は少なく淋しい。ここ日御碕の磯場も例外ではなかったが、アメフラシやタテジマイソギンチャク、ヤギの仲間など予想よりもずっと多くの生物に出会えた。やはりここの自然は豊かだ。今度は生物が産卵する季節に訪れてみたいものだ
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