「山旅倶楽部」で広がるアウトドアライフ
No.146 2003.2.20
島根県 中海

蘇れ中海よ

蘇れ中海よ
[Exif位置情報 あり]

境港に着いたのはとっぷりと日も暮れた7時頃。旨い魚を食べたくて地元で有名な和食店に出向いたのだが、席についた途端「こりゃ失敗だな」と思った。長らく旅をしていて痛感するのは、観光客相手の店で良い思い出の店は少ない。勘はあたり、出てきた海老はイバラモエビのようで期待したのだけど、味は冷凍品かと思うレベルでガッカリ。刺身の鯛も養殖モノのようだ。ダメだと分かったら即撤退する主義。夜の境港漁港に車を停め、ネオンの灯る路地裏を散歩する。しかし予想した境港と現実の飲み屋街のギャップは大きい。活気がないのだ。小料理屋に入り、女将にそのことを告げると、サバ漁の不振で境港に寄港する漁船も減り、山口の漁船が新潟沖にまでイカ漁に出掛けているのが現実だそうだ。演歌の似合う飲み屋街を後にして漁港まで戻り、屋台のラーメン屋を覗くとアニキ達がコップ酒で盛り上がっている。仲間に入れてもらいラーメンをいただく。うま〜い。やっぱり食事に陽気さは大事なおかずだ。今日一日で一番のご馳走だった。さて寝るとするか..と..モバキャンする公園で夜空を見上げるとオリオン座が鎮座していた

翌朝、霜柱の残る公園を後にして、水木しげるロードを抜け、境水道大橋を渡り美保関に向かう。日本海越しの大山を見たかったのだ。美保関は小さな漁港でイカの干物を軒先に吊るした土産屋が印象的。美保神社に参った後、目的の大山を見に海岸に出たものの、残念ながらモヤの中に包まれたショットしか撮影できなかった


写真は下宇部尾付近の中海だ。中海はアカエイの産卵場所としても知られる日本でも貴重な汽水湖であり、そしてこの風景の先が問題の本庄の干拓地である。そもそも中海は1700年代からカタクチイワシ漁を巡り本庄と下宇部尾で対立があったほどに大漁の場だった。そこに境水道の防波堤が出来てウナギやアカガイの漁獲がぐんと減り、そして本庄の干拓で潮の流れが変わり、コノシロの大量死の発生、また宍道湖のシジミを含めて、貴重な生物の生態系に大きな影響を及ぼしている。宍道湖、中海の貴重な資源を全滅させてまで、農地を作る必要性はどこにあるのだろうか。有明海と全く同じだ。土建族議員と官僚、そして地元自治体権力者の愚挙が地方の活力を奪い取っている。なんと中海の名物であるハゼの2001年漁獲高は例年の1/10まで激減しているのだ。オダエビ、ゴリ、ヒイラギ、サヨリなど貴重な生物の減少に歯止めがかかるのはいつの日だろうか


掲載している写真に[Exif位置情報]がある場合には、その写真をカシミールの「山旅倶楽部」地図上にドラッグ&ドロップしてみてください。撮影場所の地図を自動的にダウンロード、位置を画面の中央にアイコン表示します。アイコンをクリックすると写真を表示します。また写真にはExif形式で旅情報の内容も記載していますので、カシミールで内容を閲覧チェックできます。 写真をwebブラウザでダウンロード保存しておくと、旅データとして活用できますよ。
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