「山旅倶楽部」で広がるアウトドアライフ
No.127 2002.8.31
秋田県 鳥海山

鳥海山には黒瓦の美しい町がある

鳥海山には黒瓦の美しい町がある
[Exif位置情報 あり]

他県から登山目的で鳥海山を訪れる場合、日程的にも海岸まで出向く人は少ないと思われるが、モバキャンするには西目や象潟の道の駅は抜群に便利だ。なにしろレストランや土産物店だけでなく、温泉や大きなスーパーも併設されているので、単に食事をとるだけでなく、一日の疲れも癒せるし、食料の買出しもできる。同様に東由利の道の駅も温泉、レストラン、そしてスーパーマーケットが一体化している。秋田の中でも何故か鳥海山周辺の道の駅は規模も大きく、使い勝手はメチャクチャよい

鳥海山は海岸から一気に2000mを越える山がそびえ立っている訳で、屋久島の宮之浦岳のようなものだ。だから海岸近くでも、旨い水が湧くのだろうか、仁賀保町には創業がなんと室町時代の1487年、全国で3番目に古い蔵元、飛良泉本舗がある。この蔵元から海岸までは徒歩5分もかからないほどの近さだ。日本酒好きの方ならば飛良泉の旨さはご存知だろう。特に夏場の酒「氷結生酒」はその名の通り、生酒を凍らせたもので、瓶の中の凍った酒を専用の棒でつつきながら、みぞれ状にして味わう。この旨さは絶品だ。蔵元だけでなく、道の駅でも入手できるので是非とも味わって欲しい。僕も普段通っている酒屋で飛良泉はよく購入していたが、まさか鳥海山の麓、こんな海岸近くで作られていたとは夢にも思わなかった

西目海岸は「白砂青松百選」に選ばれた美しい砂浜が続き、夏は海水浴場として賑わうが、フィールド観察派としては自生するハマナスの花の群落は見逃せない。なお近くにはハーブ園ハーブワールド秋田もある

この西目の海岸近くをふらふらと散歩していると、美しい黒瓦の家並みが多いことに気づいた

瓦屋根の美しい町というと、広島は呉、竹原や愛媛菊間町など瀬戸内海周辺という固定観念があり、秋田で黒瓦の家並に出会うとは、予想だにしていなかった。どうして西目に黒瓦の家が、こんなに多くあるのだろうか。疑問に思い、昼飯を食べた店のご主人に聞いたところ、仁賀保町に金子瓦という秋田唯一の製瓦所があるという。この金子瓦の創立は大正時代、巾山の土を使い焼瓦を作ってきた。ここの瓦は雪国の冬にも強いのが特長だが、残念ながら現在は大手メーカーによる価格破壊の余波を受け、自社での生産は数年前に打ち切ってしまったそうだ

サケの遡上する西目川

黒瓦の家並近くに西目川が流れている。この川はサケが遡上する川として知られている。川幅はさほど大きくはなく、こじんまりしているけど美しい川だ。東京に戻り、撮影した写真を整理していて、ハタと気づいた。おばさんが道端の水路で洗濯をしているカットを撮影していたのだ。この場所は海岸からすぐ近く。黒瓦に気を取られていて、うかつにもその時には全く気づかなかったけど、洗濯できるほどにきれいな水が流れているということになる。ということは愛媛は西条の「うちぬき」のように、この鳥海山周辺の海岸沿いや海の中にも実は湧水があるのではないだろうか。そういえば飛良泉酒造もあるし、この地域は岩牡蠣の名産地でもある。旨い岩牡蠣はきれいな海水のあるところで採れる。西条で採れるアナゴは松山のアナゴとは格段に味は違うというし、実際西条で食べたカレイは大分の城下カレイに勝るとも劣らない味でとても旨かった。西目、仁賀保、象潟の海岸沿いの川は再度丹念に調べてみる価値はありそうだ


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