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僕にとって鳥海山の魅力はブナ林と、美しい川の存在だ
あるテレビの旅番組の中で、立松和平さんは「いい森があれば、いい川が必ず流れているよね」と、あの独特のしゃべり方で述べていたが、鳥海山のブナ林の中を歩いていると、「本当にそうだよなぁぁ..」と、思わず相づちを打ちたくなる風景が続く
特に獅子ヶ鼻湿原のブナは奇形が多く、その異様さはむしろ畏敬の念をいだかせ、心が和んでくる。この奇形のブナ林の中に鳥海山の伏流水がこんこんと湧き出る「出つぼ」がある。湧水の水面に映る奇形のブナを見ていると、あたかも自分が映画「2001年宇宙の旅」のように、時空をさまよっているかの錯覚に陥り、時の感覚を失ってしまう
獅子ヶ鼻湿原のもう1つの特長が「鳥海マリモ」だ
世界的にも稀少なコケ、ヤマトヤハズゴケやヒラウロコゴケ、ハンデルソロイゴケが絡まり、マリモとなった鳥海マリモは阿寒湖のマリモのように丸くはならず、碁石のように平べったく、渓流の底や脇にグリーンの美しい文様を作り出す。この鳥海マリモの生息地は、日本では他に八ヶ岳で見られるだけだという。この貴重な存在の鳥海マリモだが、2001年、渓流の水が一時的に減少したため、干上がり、一部のマリモに被害が発生した。2002年夏現在、現状は維持できているものの、被害のあったマリモの回復の見込みはたっていない。全滅しなかっただけでもラッキーかもしれない
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