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松之山をうろうろと散策していたら、農家の庭先で
おばあちゃんが何やらたたいているのを見かけました
さて..おばあちゃんがたたいているものは、何でしょうか
また..これは..何の目的で使用されるのでしょうか
答 このおばあちゃんが、たたいているものは..「ヤマゴボウ」です
目的は蕎麦のつなぎに使うためです
このたたきは1時間以上もかかり、大変な労力を要します
この地では、ヤマゴボウの蕎麦作りは嫁の仕事だったのだそうです
おばあちゃんの息子さんは、最近蕎麦店をはじめました
自分が習得した蕎麦作りの手法をなんとか息子に伝えておきたい
だから、おばあちゃんは、この日、数十年ぶりにヤマゴボウをつなぎにした
手打蕎麦を作ろうと決心、作業をし始めたところだったのです
なお、このヤマゴボウは、いわゆる「ヤマゴボウ」ではなく、アザミの仲間の「オヤマボクチ」のことを指します。本来のヤマゴボウは毒草ですから、つなぎには使いません
ところでヤマゴボウの蕎麦というと、長野県富倉が有名ですが、地図を見ても分かるように、富倉も松之山も距離的には近く、蕎麦のつなぎにヤマゴボウを使うという手法は、この地一帯に伝承されていたと思われます。面白いことに松之山の隣町、十日町や津南では、現在、蕎麦のつなぎに海藻の「ふのり」を使用したヘギ蕎麦が名物です。ヤマゴボウより手間もかからず、入手しやすい「ふのり」が結果として普及したのではないかと思われます。ツルツルとしたノドゴシのよいヘギ蕎麦はとにかく量で勝負。腹いっぱい蕎麦を食べたいという、庶民の知恵から生まれた蕎麦であることは間違いないでしょう
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