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結婚式の翌日1977年8月21日、中古で購入した昭和49年式のハイエースに布団と2台の自転車を積み込み、僕とカミさんはとりあえず調布インターから中央高速に乗ってみた。新婚旅行だ。しかし行き先も、宿泊地も全く決めていない。僕はスケジュールの決められた旅は苦手なのだ。まもなく終点の勝沼に到着してしまったので、そのまま国道20号線を下っていく。カミさんに上高地など、どうだろうかと訪ねるとOKだという。上高地バスターミナルのある駐車場に到着したのは、夜の9時。当時、まだマイカー規制はなかったのだ。当然だけど僕等のほかには、人の気配は全くない。新婚旅行の初夜は上高地の駐車場。空を見上げると天の川が渡り、星が降るよう、気分は最高だ。翌朝僕は白のケントのジャケットとパンツ、カミさんはドレススカート。こんな珍妙な格好で自転車に乗り、森を散策。野鳥たちのさえずりが心地いい。今年で結婚25年を迎えるが、自転車で上高地を散策したのは、後にも先にもこの時だけ。得したような、寂しいような。安房峠から穂高に別れを告げ、さぁぁ次は高山にいくぞ。その後富山を経て能登半島を一周、京都金閣寺の駐車場に泊まったり、神戸の山手にあるインド料理店でプーリーや美味しいカレーを食べたりしながら、新婚旅行は終わったのだが、一度も宿にはお世話にならなかった。これが僕等のモバキャン人生の始まりというわけだ。
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